人はなぜ犬を飼うのだろう?

その犬は3年ほど前、近所の道路で、通りかかる車を吠えながら追いかけていた。

とても大きなイエローのラブラドールレトリバーで、首輪をしていなかった。

あまりにも危ないので首輪とリードを持って近づくと、おとなしく寄って来て簡単に捕まえる事ができた。

良く太って、毛艶もよく、怪我や病気も無さそうで、天真爛漫な感じの可愛い顔をした雌だった。

色々と近所を尋ね歩いたが飼い主が見つからず、仕方ないので一晩預かり、翌日保健所に連絡することにした。

飼い主が探しにきたらわかるように外に繋いでおいた。

確かウチでは先代が亡くなった年か、あるいはせいぜい1年たってないくらいの頃で

保健所に引き渡して仮に飼い主が現れなかった時は、ウチで飼う事になるかもなぁ、と漠然とした覚悟はしていた。

幸いその日の夜、口笛を吹きながら歩いている人がいたので声をかけたら飼い主だった。

うちから100mも離れていないご近所さんだった。

その犬は尻尾を振りながら振り返る事無く飼い主と帰っていった。





ひと月ほど前、少しスリムになってはいたが多分、その時の犬と思われる仔がまた道路を歩いていた。

また、脱走か?ウチに帰れよ、と声をかけたら(だからというわけではあるまいが)家の方に向かって小走りに去っていった。





今日、用事で自転車を走らせているとまたうろうろしていた。声をかけながら横に停まるとビクっとして後ずさった。

スリムというより明らかに痩せていた。後足のあたりに傷かデキモノのようなものがあった。

そっと手を出したらまたビクッとして方向を変えた。家の方に歩いていった。

用事をすませての帰り道、近所の犬友達の親子が捕まえていた。「どこの仔か知りませんか」と聞かれ、過去のいきさつを話して家を教えた。

けれど、もし違ったらいけないので先に見てくる事にして、一人で家を訪ねた。小屋と抜けた首輪があった。間違いないようだ。

家のチャイムには誰も答えない。留守のようだ。





その犬と親子が待つ所まで引っ返す途中、親子が犬を連れて来ていた。様子を話して一緒に連れて行くことにした。

親御さんにそっと話をした。飼われている環境が悪すぎる。娘さんたちにはショックかもしれない。

大きな小屋に鎖で繋がれて飼われているようだが、糞の始末がされていない、それもおそらく何ヶ月も。

抜け落ちた毛が絨毯のようになっている。悪臭もひどい。

それでも付いて来た娘さんたちを道路に残して二人で首輪に繋ごうとしたら、首輪がこわれていた。

無理矢理かろうじて止めてあったとしか思えない状態。なんとか工夫して繋いだがいつまで保つかわからない。

いつのまにか側まで来ていた娘さんたちをうながしてそそくさとそこを離れた。

その犬は別に追ってはこなかった。




人は何故、犬を飼うのだろう。

その犬はきっと、飼い主が帰ってきたら、そんな環境にいるにも関わらず、尻尾を振って迎えるのだろう。

その犬は多分、他人が思うほどに不幸は感じていないだろうと思う。

それでも数年前とは変わってしまったあの犬を見て、ワタクシは考えずにはいられない。人は何故、犬を飼うのだろう、と。

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by udonfly | 2013-07-30 22:15 | イヌ
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